台風の季節になると、台風の強風で足場が倒壊したというニュースがテレビで流れることがあります。足場が丸ごとめくれて、周辺の道路などに足場材が散乱している光景。そんな状況を見るとグーッと胸が痛みます。
これは現場監督大変だぞ・・・
もし自分がその現場を担当していたらと想像すると、本当にゾッとします。
台風の対策にはいつも悩んでいました
現場監督時代は、台風接近のニュースを聞くたびに暗くどよーんとした気分になったものです。気象情報を何度も何度も確認して、進路はそれていないか、勢力は弱まっていないかと期待します。
がしかし、どうやら進路はバッチリ入るし勢力は強いままだし、なんてことになったら何らかの対策が必要となります。どこまでやるべきか、いつも悩んでいました。シートはめくるか?足場ツナギは補強するか?最上段の仮設の屋根はどうするか?などなど決定すべきことは多くあります。
そんなことを考えて判断したり、実際に段取りしたりするのは面倒なので、ついつい
大したことないから大丈夫じゃね?
と自分に都合よく考えてしまいがちでしたね。何でしたっけ、正常性バイアスでしたか。何をするにも金はかかるし、うかうかして段取りを遅らせると職人の手配もできなくなるかもしれないし。
対策するのは大変だけど、何もしないで何かあったらもっと大変なことになるし。あー悩むわあ。
なんかもっとこう自動的に決める仕組みとかあったらいいのにな、と常々思っていました。現場ごとに監督一人一人が考えているのは非効率で不確実だよな。もっと現場同士、会社同士の横の連携が上手くできたらいいのにな、とぼんやり感じてもいました。まあ、そうやって自分で考えて判断していくことが現場監督としての経験になっていくのでしょうけどね。
台風時は職人を段取りできないケースが多い
そうやってグダグダ悩んだ後、ようやく決心して足場屋に電話すると、たいてい
カントク、ワリい!他の現場で手一杯だからそっちには行けんわ。カントク自分でやっといて
とスラッと軽い感じで言われる。
テメえウチの現場は後回しなんかい!
と怒り狂う結果となる。ま、思っているだけで相手には言わないんだけどね。しかしながら、怒り狂って現場事務所内をウロウロしたところで何の解決にもならない。
職人が来なければ自分でやるしかない訳で。ああ、これが零細会社の現場監督の悲しいところだったりします。私の担当していた現場は3~4階建ての比較的小規模な集合住宅だったので、自分達で何とかできないこともなかったので。
早速、近くの現場にいる会社の先輩や同僚に連絡をして、手が空いているなら手伝ってもらえないでしょうか?と丁寧に頼んでみる。すると大抵、
あーこっちもやらんとあかんのだわ。お互い手伝ってやろうか!
向こうも同じ状況だったりすることが多かったですね。
んで、監督同士2、3人でシートをめくったり、足場ツナギを足してみたり、現場内で飛んでいきそうなものは片付けたり固定したりしていく。もちろん台風がやってくるまでは時間的余裕がないので、ボチボチではなく一気にグワーっとやってしまわなければならない。テンション上げて職人モードに入ります。
で、一連の作業をやり終えると、お約束の一服の缶コーヒータイム。缶コーヒーを飲みながら現場を眺めていると、なんでしょうか職人的満足感に浸る自分がいたりします。
まあ本当はそんな満足感は得ちゃいけないんでしょうがね。
そんなこんなで台風に備えても、実際の台風の通過中は何だか不安で落ち着かない。ホント、現場やってると気の休まる時がないなあ、と実感しますね。台風通過の翌日、現場に行って何事もなかったことを確認できるとホッとします。
やれやれ何もなくて良かったなあ、と。
しかし、ホッとしているのも束の間、思い出します。
このめくったシートは誰が戻すのだ?
あー、ホントやれやれです。
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