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映画評

映画の中の建築現場『私の頭の中の消しゴム』

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2005年の韓国映画です。タイトルでだいたい内容が分かってしまう恋愛映画ですが。

若年性アルツハイマー症になった女性と建築家志望の男性との恋物語。こういう物語の場合病気になるのはたいてい女性だったりします。悲劇のヒロイン願望と守ってやりたいヒーロー願望とのウィンウィンの関係性だったりするのでしょうか。

今、現場監督をしている人にはかなりおすすめの映画です。

もちろん恋愛がメインの映画ですが、その物語の中で現場からのステップアップ、成り上がりを描いています。現場監督→勉強して資格取得→晴れて建築士!みたいな。

きれいな女性に支えられて、努力してステップアップしていく。俺にもこんな女性がいたらなーなんて身勝手に思ったりもします。そんな順調な生活もやがて・・・となるわけですが、詳しくは本編を見てみてください。単純明快な物語ですが見ていて楽しい。韓国メロドラマっぽくて、二人の出会いもベタベタなもの。しかしそれがいい。

現場監督が主人公の映画なので、現場の描写もよく出てきます。もちろん現場経験者からすれば?なシーンもてんこ盛りです。当時映画館で見ていましたが、おいおいそれはねえわ、あかんあかん、などぶつぶつ言いながら見ていた記憶があります。

そのツッコミどころのひとつが、生コン打ちをするかどうかもめてるシーンです。

早く打たせたい会社側と、それに異を唱える現場監督との衝突の図式。このシーン、現場経験者ならあまねく全員ツッコむことでしょう。

そもそもそんな状態でコン打ちできるわけねえやろ!

そうなんです。現場は床を張っただけの状態。鉄筋のテの字もない。ただの床が広がっています。撮影の都合であるのは明白ですが、これはいかがなものかなんて思ってしまいます。

床配筋なんてしてしまったら、俳優さんが歩きにくくてしゃあないですからね。床配筋後、その上を歩くのはちょっとした慣れが必要ですから。配筋の隙間に足を突っ込んだ日には、足を挫くか転倒してけがをしてしまいます。

ていうか、コン打ちするしないの会話も?な感じです。字幕なので細かいニュアンスは分かりにくいですが、現場監督は延期の理由として、下の階の養生期間の短さと床の支柱のかためがまだ終わっていないことを主張するわけです。なんとなくつじつまは合っているようにも思いますが、現場がその段階なら物理的にコン打ち無理なんだから、そんな議論されてもなんだかなあ、です。つか、もう生コン車が現場に着いてるって。

それ誰が段取りしたんだ?

いやもう、ツッコミが楽しくて止まりません。

でも、この主役の現場監督、いい雰囲気出してます。なんだろう世間一般の現場監督のイメージをうまくトレースしとるな、と感心します。マッチョイズムな男臭さをむんむんに巻き散らかしています。

壁に大理石を貼ってある現場で、やり直しを指示するシーンも出てきます。思わず、え!ここからやり直しさせんのか?と映画館にもかかわらず声が出てしまいました。スクリーン上では、目地が若干ずれてるかなあとしか分かりませんでしたし。

それくらいのずれなら普通スルーだろ

と私の頭の中の黒い部分がささやいていました。その後のセリフで「傾いてるだろ」というのがありましたので、かなり致命的な施工ミスだったのかもしれませんが。目視して分かるレベルの傾きってどんだけなんだよ。

にしても、もう少し早めに指摘してやれよ、とは思います。もうガッチリ全面貼り終わっていましたのでね。

というように、現場経験者にとっては別の意味で楽しめる映画だと思います。もちろん本来の恋愛映画としてもよく出来ています。

この映画を見てささやかな優越感に浸ってください。

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