仮設工事において、現場監督は仮設計画図という図面を書くことになります。
その図面を書く時に考慮すべき項目としては、主に以下の5つ。
・仮囲いをどの範囲でどの程度頑丈にするのか?
・搬入口はどれくらいの幅?ゲート等は?歩道や側溝の養生はどうするのか?
・現場事務所の大きさは?どこに設置するのか?
・仮設の水道や電気はどこから引込みしてどこまで引っ張るのか?
・建物を囲う作業用の足場はどうするのか?
これらの項目を決定していくのですが、作業効率や予算やもちろん安全性などを考慮して最適解を導いていく必要があります。中でも建物を囲うように設置する作業用の足場をどのようにするのかは重要。
その足場の図面をどのように書いていくのか、を簡単に説明していきます。
とりあえず建物コーナーから始めてみる
以下のような立面と平面の建物に足場を組むことを想定します。CADソフトはJw_cadを使用しています。
施工図全般に言えることですが、経験の浅い頃は図面を書く時「どこから取り掛かるのか?」全く見当がつかない状況にはまりこみます。建物との位置関係で施工上問題がなく、かつ足場の割付がスムーズにいくのはどこから始めるのがベストなのかを考えるのですが、経験が浅いと結構難しい。
しかし、悩んでいても進まないので、まずとりあえず建物コーナーから始めるようにします。
1,800*900の足場を一つ置いてみます。
足場は建物仕上りから300mm離すのが基本
足場は建物仕上りから300mm離すように置きます。足場はとりあえず躯体から300mm離しておけ、というのが基本なので。なぜ300mmなのか?
この数値は労働衛生法など法律で定められているものではありません。現場における暗黙知というものでしょうか。経験上確かに、300mm程度の離れは作業もしやすく、落下の恐怖もあまり感じることのない、いい塩梅の距離だったと覚えています。
では、取っ掛かりができたので、どんどんコピーしていきます。
とりあえず曲がり角まで来ました。
はみ出してしまったので、ちょっと考えてみる。
コーナーの足場連結部は70mm開きが必要
とりあえず解決したので、次に進みます。
コーナー部分の足場は建枠同士をクランプで抱かして固定するので、70mm(建枠の芯々で)の間隔を確保する必要があります。
東面を伸ばしていきます。
建物仕上りから300mm±100mmは許容範囲、だと思う
離れが210mmか440mmになるか・・・。こうなると悩む。
躯体との離れが少なすぎると作業はしにくい、逆に離れ過ぎても作業はしにくいし、なにより危険です。ブラケットを出して養生ネットを張る必要が出てきます。そんな予算はないしなあ、なんて考えます。
悩んでいてもどうしようもないので、躯体との離れは300mm±100mmはOKとして進めていきます。
北面の壁仕上げが何かにもよりますが、正直210mmはきついかもしれないので、南面の足場の離れを少し小さく(300mm→250mm)にして対処してもいいかなとも思います。
北面と西面を伸ばしていくとこんな感じに。なんだか上手くいかない予感がします・・・。
おお、そうだった!西面と東面、北面と南面は対称的にしないと納まらないですよね。
ということで、とりあえず建物の周り平面的には納まったような気がします。
あっ、吹き抜け部分を忘れていた。
次は立面図に取り掛かりたいと思います。
建築施工図については、この本が分かりやすかったです。
仮説計画図も含めて建築現場における一通りの施工図の書き方について解説されています。
ぜひ、参考にしてみてください。
建築施工研究会 著
若手技術者が理解出来るレベルでまとめた手引書。仮設計画図から専門工事業者作成施工図・設備施工図まで主要施工図を網羅。ネットと連動、作図の実際をナビゲート。
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[…] 現場監督のコツ『足場図面の書き方』① […]
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