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現場監督の仕事で過労死をしないために

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新国立競技場の建設現場で働いていた方が亡くなりました。自殺とのこと。

私は詳しい状況は分からないので、この件に関して語ることはできません。ただ、現場地獄から生還した一人として言わせてもらいます。

死んだらあかんで!死んだらそこでおしまいやで!!どんなに不恰好でも生き残らないとあかんで!!!

追い込まれて追い込まれて、ぐーっと押し潰されるようなあの精神状態って何なのでしょうね。すーっと闇に吸い込まれていくような感じ。

当時は毎日毎日思っていました。もうあかんもうあかん、って。現場に行ったら周りは敵だらけ。会社に行っても味方はいない。なんという孤独。今思い返しても胸のあたりがぐーっと苦しくなります。あーしんど。

そんな追い込まれていた私ですが、なんとか抜け出して今を生きています。抜け出せた理由は・・・よく分かりません。もしかしたら、たいして追い込まれていなかったのかもしれません。

今この時にも現場でのたうち回って苦しんでいる方はいます。もうあかんなとなって最悪のことが頭によぎったら、やってみてもらいたいことがあります。

実際、私がやってみたことなんですけどね。特に科学的根拠があるわけでもないただの体験談ですが。以下につらつらと書いていきます。

1.やめると決める

そう、やめるんです。

今いる所でなんとか折り合いを付けてがんばっていこうという話ではありません。

それ、もう無理だから。

そのような答えを期待していた方にはすいません。いかにダメージを少なくして今いる場所を変えることができるか、を考えます。やめたいなあ、とぼんやり思うのではないのよ。

で、今決めるんです、やめるって。

いついつまでにやめる、と具体的に決心することが重要です。この現場が終わったら、この工程がひと段落ついてから、とか。とにかく具体的なゴールを自分の中で決めてしまいましょう。

大切なのはこの苦しい状況はあそこまでだ、という明確なゴールが見えること。ゴールが見えることでなんとか耐えきることができます。先の見えない状況で、しんどいことを延々とさせられることは、どんなスーパーマンでも耐えることはできません。

あるマラソンランナーがインタビューで言っていました。「マラソンを走るのはつらいです。レース中いつも『あの電柱まで走ったら棄権しよう』と思いながら走っています」と。で、その電柱にたどり着いたら『次のあの電柱まで走ったら棄権しよう』と思うそうです。

有名なランナーの人でもあーきついやめたいわって思いながら走っているんだ!と驚いた記憶があります。

やめた後、まともな職につけなくて食いつめてしまうのではないか、という不安があったりします?確かにそういう不安はあるかもしれません。

でも、これって冷静に考えるとなんだかおかしいですよね。

なんでしょう、今の職場がとてもすばらしいかのような考え方。こんなに追い詰められている職場がまともであるはずはありませんのにね。

やめた後は天国なのか、地獄なのか、それは分かりません。でも、ひとつ確実なことはあります。続ける先は地獄だということ。だったら辞めてとっとと逃げちゃいましょう。

自分の人生です。そして人生は短いです。

2.やめた後に備えて準備を始める

とりあえず仕事をやめる準備を始めます、今すぐに。

いきなりなにもかもを放り出して逃げてしまうのがいいのですが、ここを見に来るような真面目で責任感の強い人はそんなことはできません。それができていたら苦労はしません。もしできたとしても後々「自分は仕事を途中で放り出したダメな奴」と自分を責めてしまい、今後の人生に悪い影響を与えてしまうので、おススメはしません。

繰り返しますが、やめようかな、とぼんやり考えるのでは駄目です。具体的に考えるのです。

どのタイミングでやめるのか。家族にはいつ言うのか。上司にやめると伝えるのはいつにするのか。その理由をどう答えるのか。やめるまでにしなければならないことは何か。そしてやめた後は何をするのか。

「やめた後はしばらくのんびりするかな」みたいなざっくりとした計画はNGです。今の仕事を終えたらすぐにでも違うことで動けるよう、準備します。今すぐ転職サイトに登録ゴーです。で、今の仕事をやめた後、すぐに新しい仕事を始められるよう手配します。

やめた後にニートな状態になるのを極力避けます。一度気持ちが切れてしまうとリカバリーするのに相当苦労しますので。最悪、復帰できない可能性もあります。

そういった準備を進めながら一方で、「今の仕事をやめてまでしたいこと」をじっくり考えてみてください。小さい頃から現在までの自分を振り返ってみて、自分のやりたかったことは?得意だったことは?夢はなんだっただろう?そのことを考えるだけでわくわくしてくるようなことはなんだっただろう?と自分に問いかけてください。

で、思い出したやりたかった夢に向かってがんばりましょう!

などと言うつもりは毛頭ありません。さすがにそこまで能天気をおすすめすることはしないですわ。現実は厳しいです。

まあしかし、今くらい甘い思考にひたっていてもいいではないですか。中二病的理想の世界にどっぷりつかってみましょう。そこから何か今後の道筋が見えてくるかもしれません。もしかしたら。

あ、でもメインの転職活動はどんなに忙しくてもやらなあかんよ。

3.自分の体を意識して丁寧に扱う

最優先で最重要なことは自分の体の健康を守ることです。

自分自身を丁寧に扱ってください。自分は生の肉体を持った生き物であることを自覚しましょう。つらい時はどうしても意識が内へ内へとなりがちです。頭の中で考えがぐるぐると回っているだけで、煮詰まってしまいます。

意識を頭から肉体へと向けることが重要です。自分の体が心地いいと感じることをたくさんしてあげます。

温かいお風呂にゆっくりとつかり、体のすみずみまで丁寧に洗う。

ひげを剃り、爪を切り、散髪をする。

清潔な下着を身に付ける。

子供ころから好きだった食べ物を食べる、飲む。

ふかふかの布団の横たわる。

ストレッチをしてみる。自分の体の硬さを確認し筋が伸ばされた時の痛みを実感する。

自分の体をよく観察してみて、いい所を発見してみる。よく見ると俺って眉の形いいよな、とか。歯並びは他人には負けん、とか。指先から爪先にかけてはすらっとしてるぞ、とか。肌は意外ときれいだぞ、とか。

自分のこの体は非常に貴重で価値のあるものであるという認識を持つこと。苦手かもしれませんが、ナルシシズム全開状態になってみてください。

いろんなことをゆっくりとする、というのがポイントだったりします。ゆっくりと丁寧に呼吸をしてみる。歩いたり立ったり物を持つときでも、体の感覚を意識してゆっくりと動いてみます。

とにかく自分自身を接待しまくってください。肉体が充足すれば、必ず心持にもいい影響があるはずです。

4.考えるな、体を動かせ

やるべき仕事は山積み。でも、うまく処理することができないから、仕事は雪だるま式にどんどん膨れ上がっていく。で、頭の中はパニック状態。

普段なら簡単にできることでも、出来なくなってしまう。負のスパイラルです。そんな自分の状況に気付いたら、とりあえず考えることをやめてしまいましょう。

段取りを組まなければいけない?あのトラブルの後処理を考えなくてはいけない?図面を書いたり、報告書を作らなければならない?確かに、考えなければいけないことは山ほどありますよね。考えていないと不安になりますよね。

でもね、今の状況ではできないのだから、考えようと思っても苦しくなるだけです。じっとして考えれば考えるほど思考がネガティブになって状況は悪くなるばかりです。

だから、一時的に考えることをやめます。

というわけで、体を動かして気を紛らわすに限ります。

意味もなく現場事務所の整理整頓・掃除をしてみる。動かす必要性はあまり感じられないけど、現場にある資材等を動かしてみる。足場を組んでみたり、ちょっとしたコ―キングをやってみたり。金コテ押さえなんてしてもいいかも。

そんなふうに、体を動かしてできる簡単な作業をしてみましょう。今できることをやって、できたことで小さいけれども達成感を得ること。これが大事です。

体動かして汗かいてちょっとなんかすると、なんだか仕事したなあ、って思うことできますよ。少しは頭がすっきりするかもしれません。

まあでも、やらなあかん仕事はなくならないけどね。

5.上空400キロから自分を見てみる

仕事がしんどくて追い込まれてしまっていると、自分の意識が半径5m以内から動けない状況に陥ります。全く周りが見えていない状況です。

どこにも逃げ場がないように思え、もうあかんって感じてしまいます。その現場、その職場が世界のすべてであると錯覚してしまう。

そんなわけないですよね。

別にその現場を自分がばっくれたとしても、世界は何事もなく進んでいく。冷静になって考えれば誰にでも分かることでも、追いつめられるとそんな単純なことにすら気付かない。

深夜、仕事終わりにうつむき加減でふうふう言いながら家に向かっている時、ちょっとだけ力を出して夜空を見上げてみてはどうでしょうか。晴れていれば輝く星が見えるはずです。

私は夜空の星を見るのが大好きです。夏の夜、公園のベンチでビールを片手にぼんやりと星空を見上げることが至福の時間だったりします。

色とりどりに光っている星は点にしか見えませんが、その場所までいけば、確かに超巨大な天体が存在している。途方もない距離だけど、そこにある。そして、その星の向こうにもずっと宇宙は広がっていて、どこまであるか分からない。

宇宙の果てはどうなっているのか?果てがあったとしてその先は?そんなことを考えるとなんだかワクワクしてきます。自分が1ミリも理解できないような存在が確かにある、と思うと何だか不思議な気分になります。有限の存在である自分が無限の存在を理解すること自体が不可能なのかもしれません。

ま、私の話はここくらいにして。

そうやってすーっと自分の意識を飛ばしていって(星までとはいいませんが、せめて上空400キロの宇宙ステーションくらいには)そこから振り返って自分を見下ろしてみてください。

今よりは少しだけ客観的に自分が見えるかもしれません。

今自分がいる場所はちっぽけな所で、そんなちっぽけな場所で苦しむいわれはないのです。外には大きな世界が広がっていて、今いるその場所以外でも生きていくことはできます。

つらつらと書いてきましたが、私は会社をやめることをすすめているわけではありません。今いる場所でなんとか続けられるのならそれに越したことはありませんし。

重要なのはこのつらい状況を終わらせることは可能だということを知ること。当たり前のことなんですけどね。でも、追い込まれてしまうとそれを変な方向に考えてしまいます。自信喪失して自己否定になってしまいます。

冷静に客観的に見られれば、自分はそう捨てたもんじゃない、割とできるのではないかと思えるはずです。

お互い今日をなんとか生き抜きましょう。

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