現場監督仕事の教訓:職人の質は単価に厳密に比例する

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中小の建設会社は値段で勝負

勤めていた会社は小さな建設会社だったので、もちろんブランド力などあるわけがない。というわけで必然的に、会社の売りは「安さ」でした。

というか、ほとんどの建設会社の売りはそれなんですけどね。建築なんてそう差別化できるものではないので、いきおい値段勝負となります。

で、結果、業界みんなが苦しむ

という負のスパイラルに陥る構図となっています。

もちろん、安い金額で請け負ったからといって赤字を出すわけにはいかないので、必然的に下請け業者をたたくことになります。そんな価格でもついてきてくれる業者はまあ、それなりですわな。

単価の安い職人は当然であるが質は低い。本当、至極当たり前ですね。

基本的に約束を守らない職人

社会人になって衝撃を受けたのが、「簡単な約束さえ守らない奴が多い」ということで「そんな奴でもあまり問題なく世間を渡っていける」というもの。

スゲーって思いましたね。

基本的に一般的なサラリーマンと接触する機会はあまりなかったので、特殊と言えば特殊な環境だったのですけどね。現場仕事なので天気に左右されますし、職人さんもいくつか現場を掛け持ちもしているので、なかなかこちらの思うようには動いてくれません。

約束した日時に来ない、約束した期日までに仕事を終わらせない、現場では全く言う事を聞かない、ないない尽くしでしたね。

社会人ってこんないいかげんでもいいんか?

と本当に不思議に思ったものです。それでもなんとかかんとか仕事を終わらせるのですが、当然のごとく仕上がりの質は低い。後日、発生した不具合を取り繕うのが大変でした。

最初はこんなんで完成した建物を引き渡していいのか?とも思いました。

でも、働いている中で、現場は完ぺきではありえない、ということも学びました。100%の建築なんてありえませんものね。現場で人間が手作業で作るわけですし。

その中で最低限守るべき質の基準を決め、それを粛々と進めるしかないわけです。で、働いて行く中で素晴らしい職人さんがいたことも確かです。

ま、もっとひどい施工をしている会社もあるのが分かり、自分の会社はまあまあまともであるということに、後々気が付くことにもなります。

お金を出すと素晴らしい職人さんが来る!

その一方、すばらしい職人さんもいるんだなと、思い知らされたこともあります。

大手の建設会社と仕事をした時でした。今まで一度も現場で会ったことがないような下請け会社の人達でした。

現場に入る日時を連絡してあっても、自分で現場の進み具合を下見に訪れる。当然のように約束した期日より前に仕事を終わらせる。私のような新米のペーペーにも丁寧に仕事について教えてくれる。

素晴らしい!!これぞ尊敬すべき職人さんなんだ!

と感動した覚えがあります。後で聞いたら、単価はめちゃ高かったけどね・・・。

そのような会社は、きちっとした会社組織で多くの職人さんを抱えている所が多かった気がします。いいものを作ろうと思ったらやっぱりお金はかかるんだなあ、って学んだ場面でした。

で、現場から離れた今、思います。安いなりでも必死に工夫してなんとか建物を仕上げていた会社の先輩、同僚たちはやっぱり素晴らしい監督さんだったのだな、と。

現実の社会、世の中って学校とはぜんぜん違う世界なんだと思い知らされました。仕事って、社会ってこんな感じのものなのか?なんだろう、ゆるいんだけど理不尽で厳しい世界、というか。

現実って、混沌としていてカオスで正解がない世界なんだなあ、としみじみ思ったものです。

全く違う業界にいる現在は、そんな考えは建築業界、それも中小の建設会社ならではの話であって、他では全く通用しないものだ、ということも知ることになりましたが。

普通の社会人はもっとちゃんとしているものでした。

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