内装工事から建物完成までを見ていきます。
現場では、軽天屋、貼り屋、大工、クロス屋、床貼り屋などをひっくるめて内装工事としての扱いだったりします。
LGSで組んだ天井や壁の下地の上に、木製建具の枠を取付し、石膏ボードをばしばし貼り付けていく。並行して床下地を行い、天井や壁のクロスを貼っていく。クロスが終われば床フローリングを貼り、養生をした後、電気屋や設備屋が器具を取り付けていって完了となります。
GL工事
内装工事になるのか、そうでないのかよく分からない工事。
ALCやコンクリート壁の内側に内装用の石膏ボードを貼る工法。GLボンドと言われるセメントみたいなものを左官屋よろしく水でコネて、でっかい団子状にして壁にいくつも貼りつける。
その上に石膏ボードをグッと押しつけつつバンバンとたたきひっつけて固定する。こんなのでちゃんとくっつくのか?と疑問に思うが、これが意外とがっちりとくっつくものです。
現場監督の仕事
施工写真・・・GLボンドのピッチが分かるように撮影しておきます。
設備工事(ユニットバス工事)
各部屋の内装工事の始まりはユニットバスの据え付けからだったりします。これが終わらないとなにもできない。
ユニットバス据え付け後、軽量鉄骨(LGS)による天井や壁下地の取り付け、ボード貼りへというどとうの内装工事へとなだれ込んでいきます。ここからは現場監督もテンション上げて竣工まで一気にやっつけるぞと気合を入れ直す時期です。
現場監督の仕事
墨出し・・・ユニットバス据え付け用の墨出し。
塗装工事
外壁の吹付塗装、階段や手すりや玄関ドア枠など鉄部の塗装、壁や天井でボード貼り部分の塗装など、現場にはペンキ屋の仕事がいっぱいである。
補修が多いのもこの仕事ならでは。最後にはジュースの缶に塗料とハケをブっ込んで養生シートで蓋をしたものを渡され、「タッチアップの箇所があったらやっといてね」と言われてしまう。
現場監督の仕事
施工写真・・・下地、中塗り、上塗りなど工程ごとに撮影する。
内装工事:軽量鉄骨(LGS)工事
現場では軽天屋と呼ばれている。軽量鉄骨で天井をやる仕事だからか?よく分かりませんが。軽鉄屋と呼ぶ場合もあります。鉄骨といってもたいそうなものではない。ぺらぺらの鉄板でできたC型、箱型の下地材で天井や壁を組立てていきます。
現場内には材料をカットするジャアーーーンって音、溶接をするバチバチバチって音、インパクトドライバのバババって音が響き渡る。この頃から現場内に夜遅くまで職人がうろつくことになります。
現場監督の仕事
墨出し・・・部屋間仕切り壁の墨出し。
レベル出し・・・天井下地のためのレベル出し。
施工写真・・・天井、壁下地の材料のピッチが分かるように撮影します。
内装工事:石膏ボード貼り工事
天井と壁の下地が終わったらボード貼りだ。サイズ的には幅910mm長さ1820mm厚み9もしくは12mmの石膏ボードを下地にビス止めしていく。
石膏ボードって一見堅そうだが、意外ともろかったりする。まあそうじゃなきゃ簡単にカットしたりビス止めなんてできないけど。で、これが水にめちゃくちゃ弱い。屋内用の建材だからいいかもしれないが、こんなに簡単に水でぼろぼろになっていいもんなんか?と疑問は残る。耐火性は高いので集合住宅にはおあつらえ向きの建材かもしれません。
天井のボード貼りはちょっと難しそうです。片手でボードを天井下地に押しつけて、片手で電動ドライバー(貼り屋はインパクトドライバーは使わない)をを持ってやるわけですが、そうするとビスを電動ドライバーにセットするのはどうするのか?という疑問がでてきます。
施工している状況を見ていると、ドライバーの先を自分の口に突っ込んでいる。なにをしているかと言うと、口に含んだビスを舌を使って器用にドライバーの先にセットしていた訳です。そうして1本ビスを打込むたび口に含んでセットしていく、という作業を繰り返していきます。
内装工事:木工事
一軒家だと大工さんの独壇場だが、集合住宅の現場ではイチ職人という立ち位置だったりします。
床下地(フリーフロアなど)、建具枠・本体取付、床フローリング貼り、などが仕事になります。あと棚とかカウンターとか木製の造作部があればそれもやっていきます。
ひとつの現場に何人も大工さんが入るので、材料がなくなった!ってことはあったりします。枠の加工を失敗した人が隣の大工の材料を黙って持っていく、ということをやらかしたりします。ご丁寧に失敗した材料を現場のゴミボックスに放り込んでいるので、発覚する訳ですが。あー失敗しやがったなと。誰がそれを捨てたのか?までは分からないのでやっかいなものです。
内装工事:クロス貼り工事
とうとう仕上げです。ボードを貼った天井や壁にクロスを貼り付けます。
まずボードを止めたビスやボード同士のジョイント部分をパテで埋めて平滑にします。その後、専用の機械でのり付けしたクロスを貼っていきます。クロスを貼ると現場が一気に華やぎます。おお!工事現場から人が住む部屋に変わってきたな、と実感します。
内装工事の中でもトップクラスのホワイト仕事だったりします。材料は軽いし、言ってはいけないかもですが、テクニック的には習得するのにあまり難しくなかったりするらしいので。いや、私が言っているわけではなく、そのように言っている人がいるらしいということで。独立する人が多い職種らしい、です。
内装工事:床塩ビシート貼り工事
洗面所やトイレの床は塩ビシート貼りでの仕上げが多い。また共用の廊下仕上げも塩ビシートの場合がある。
塩ビシートの呼び名はいろいろあるが、室内用はクッッションフロアやCFシート、土足の部分用は長尺シートと呼んでいました。土足用だけあって丈夫な長尺シートはかなり重い。現場でちょっと邪魔だな、と思い動かそうとしてもびくともしないので、二人がかりで運んだ記憶があります。
電気工事
電気屋と設備屋の人たちは現場の始まりから最後まで何らかの形でずーっといます。そして、仕上げの段階では夜遅くまで現場にいます。アフターメンテでもお世話になったりします。という訳で、結構仲良くなります。
電気屋、設備屋ともに他の職人の仕事に合わせての仕事だったりするので気苦労も多いのでは。ちょっとしたシンパシーを感じますね。
電気配線・配管工事、電気関係機器の取付工事などを行います。テレビ配線アンテナ取付もしたりしますが、電話関係の配線は電気屋が手配した別業者だったりします。
設備工事
電気屋に比べどちらかというと土に近いなあ、という印象。作業服の汚れ度合いは設備屋の方が上でしたね。給排水の配管工事、水周り機器の取付工事などを行います。
なんだかあっさりとした紹介ですが、現場では多くの仕事を担当します。
クリーニング工事
これは工事と呼ぶものなのか?というまっとうな疑問が浮かびますが、工程の一部分には違いない。
足場解体前の外壁のクリーニング、各部屋と共用部分のクリーニング及び床のワックスがけをして建物を引き渡し出来る状態へと仕上げていきます。
ワックスがけ後は室内へは立ち入り厳禁であるが、やり残した仕事のある職人が入って汚してしまう場合も多い。あーあ、やり直しだ・・・。
仮設工事
クリーニングが終わればいよいよ足場の解体となる。ここにきて初めて建物の外観が現れてきて、ちょっと感動もの。
足場の壁つなぎ部分の補修のため、タイル屋をスタンバイさせておくことを忘れてはいけない。外壁仕上げが吹きつけの場合は、コーキングをしてタッチアップとなるわけだが、これは現場監督がするケースも多い。
外溝工事
建物はすかっとできたが、敷地内は土や砂利や石が転がっている工事現場状態。ます、設備屋と電気屋が小さめのユンボを使い、敷地内の配管工事などを行う。
駐輪場や物置等がある場合は、土間コンを打ったり。敷地の境界にブロック壁があるのであれば、先に施工してしまう。
そうした後、いよいよアスファルト舗装だ。みなさんおなじみの道路工事用の車両が現場にやってくる。図面の指示通りの勾配を実現すべく整地作業を行う。ローラーで転圧し締め固めていく。
仕上げにアスファルトを敷きつめ、ローラーで転圧。こうやって出来上がった瞬間が一番きれいな状態だ。建物も敷地もえらいことピッカピカ。
後は駐車場の白線を引いたり、車止めのブロックを置いたり、駐輪場や物置を置いたりしてようやく完成となります。
いやーようやく完成しました。しかしこの後、手直しや検査の準備などまだまだ仕事は続いていきます。
でも、この瞬間だけは達成感につつまれます。出来上がった建物を見上げて、ほっと一息つきます。
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