現場仕事の合間、休憩時に飲む缶コーヒーは最高ですよね。身体の芯から冷えるような寒い日、レベル出しが終わっての休憩に飲む暖かい缶コーヒー。うだるような暑さの日、墨出しがひと段落し日陰に腰かけヘルメットを脱いで飲む冷えた缶コーヒー。どちらもうまい。
「掃除」と並んで新人現場監督の鉄板仕事「ジュース買い」。ジュースというか実際は缶コーヒーですが。現場では朝イチ、10時の休憩、15時の休憩に飲み物はお決まりでした。で、その飲み物を買ってくる簡単なお仕事です。いわゆるパシリですね。
ああパシリ。この下に見られている感は屈辱以外の何物でもなかったりします。これからこの世界にでていこうとしているオレがパシリ?ありえねーよ、と思います。しかし現実は残酷です。今の自分にできる仕事はこれくらいしかないことも真実です。社会に出たての頃ってホント無力感に襲われますよね。がんばりましょう。
しかしながらこのパシリにはいいことがついてきます。自分の分はおごってもらえる、こと。現場監督、職人とも缶コーヒーを好む人が多く、タバコ+缶コーヒーは現場の基本だみたいなところもありました。もちろん夏場の暑い時期はペットボトルの水やお茶が主になることもありますが。
仕事を始めてあんなに缶コーヒーを飲むようになるとは思いもしませんでした。一日三回飲むわけですから、さすがに甘いコーヒーばかりだと身体によくないのでは?と不安になったこともあります。ので途中からブラックに切り替えていきました。
では早速そのパシリのコツを書いていきます。
・・・パシリのコツ。無駄なコツだよなあ。
1.覚えようとするな、メモれ
面倒なようだが、買ってくる本数が多くなったらメモるのを忘れないように。経験上、買ってくる本数が3本以上になったら、自販機にたどり着くころには忘れてしまっている。
オレ記憶力いいから大丈夫、とたかをくくってはいけない。仕事を始めて間もない、現場というモノに慣れていない新人の時期は、たえずいっぱいいっぱいの状況におちいっています。現場の中は危険だらけの魔窟に思え、ただ歩いて移動するだけでも緊張を強いられます。そんな時に何種類も覚えていられるワケがない。
忘れてしまったら聞き返しに戻らなければならないが、現場にある自販機はたいてい敷地のすみっこにあり、建物からは遠くにあるものだったりします。なので、そこからまた現場内に戻って聞き直す、というのは大変面倒くさいものだし、ブーイングも受けることになりますし。ま、携帯があるならそれで聞け!という考えもあるかもしれません。でもまあ新人には無理かもです。先輩に電話して「何買うんでしたっけ?」と聞くのはなんだか間抜けで気が引けます。
今回の話題とは直接関係はないけども、おすすめのメモ帳として測量野帳があります。
それほど高価ではないので、興味ある方は使ってみてはどうでしょうか。なにより薄いのがよい。通常の小さめの手帳では厚すぎて胸ポケットに入れるとぱんぱんになってしますのが悩みだったりしたので。しかも表紙が硬めで立ったまま記入するのに便利。
2.数が多い場合は土のう袋を使う
買ってくる本数が多くなってくると運ぶのも大変になります。片手に2本ずつ持って、上着とズボンのポケットに入れてで計6本はいけますが。
埃だらけのポッケの中から缶コーヒーを取り出されたら、もらう方はちょっと”ウッ”となるかもしれません。特にズボンのポッケからはキツいかもです。なんででしょうか局部に近いからでしょうか。まあ現場にそんなことを気にする繊細な人間はいないでしょうが。んーでも自分だったらちょっとイヤかもです。
時に10本を超えるオーダーを受け付けることがあります。そんな場合は身に付けてなんとか運ぶ、ということは不可能になりますから、おとなしく袋などを使うようにしましょう。現場でよく見る手っ取り早い袋といったら土のう袋しかありません。通常はゴミなどを入れて使用するものですが、別に缶コーヒーを入れて運んでも問題はありません。
3.迷ったら微糖コーヒーにしておく
なんでもいいよ、というオーダーを受けるときがあります。このような注文は困りますよね。こちらのセンスや気配りを試されてるようで。または、コーヒーとだけ聞いた場合など、何を買ったらいいのか迷う場面にはよく遭遇します。
そんな時は何を買うか。わたしは「微糖コーヒー」にしていました。
現場の飲み物といったら缶コーヒーでしょ、というのが共通認識として存在しています。そのコーヒーの中でブラック派と甘い派どちらでもなんとなく受け入れられるのが「微糖」だったりします。そのように最大公約数を求めていった結果、たどり着くのが「微糖コーヒー」であります。
無糖か微糖か甘いやつか迷った場合は、微糖にしておくべきです。おそらく大丈夫ではなかろうかと。
しかしながら微糖コーヒーは微糖っていう割には「微」ではないですよね、以前から思っていましたが。個人的には甘いやつの8割程度じゃね?と感じます。「微減糖」もしくは「ほぼ同糖」というネーミングの方がしっくりきますね。
個人的にはもう少し甘くないものが希望なんですが、なかなかないものですね。
4.現場に置く自販機のメーカはマイナーなものがいい
現場事務所が設置されたばかりの時期には、自販機の営業がばんばんやってきます。ウチの自販機を置いてくれ!と。
自販機の飲み物は1本売れたらいくら、という手数料が現場に入ります。通常はそのまま会社に渡すわけですが、監督によっては自分のポッケにいれる人もいた、ような気がします。
その手数料がメーカーによって違います。あたりまえですが、人気のある有名な会社だと手数料は安く、あまり見たことのない飲料が多いマイナーな会社だと手数料は高い、ということになります。
で、どの会社を選択するのか?は監督の考え方が出るものです。私がいた現場ではたいていマイナーな自販機が置いてありました。手数料のことを知らない時は「なんでこんな見たことのない飲料ばっかの自販機置いているんだ?」と不満を覚えたものです。
しかし、自分が選ぶようになったらやはりマイナー自販機を選んでいましたね。だって手数料高いんだもの。職人たちが文句を言ってきても知ったことないです。
飲めればいいじゃん。
5.自分の分を買うのを忘れない
ま、あたりまえのことですが。依頼された飲み物を買うので精一杯になりがちです。でも自分の分を買うのを忘れてはいけません。そのインセンティブのためにパシリをしているのですから。自分の分は一番先に買っちゃいましょう。
現場ではいつでも自分ファーストを忘れずに。
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