現場監督の仕事『積算』の流れを解説

積算は根気のいるデスクワークですね。現場仕事に慣れてしまうと、じっと座って机にかじりついているのはきついものです。

設計図を元に必要な建設資材の数量を拾い出し、その建物を建設するのにどれくらいの費用がかかるかを見積る作業。これをやらないとお客さん(施主とも言う)に見積りの提示も出来ない。

使う道具は、サンスケ(三角スケール)、電卓、くらい。

目次

建物のひとつひとつのパーツの面積や体積を求めます

建物をひとつひとつパーツに分解して、その数量を出していきます。数量の単位は主に面積や体積ですね。それ以外にも、長さ、重さ、数を求めるケースもあります。

  • 杭打ちは何本するのか、それぞれの杭の長さは?
  • 基礎工事をするにはショベルカーで土を掘りますが、それは何立米(りゅーべ:1m×1m×1m=1立米)あるのか?
  • 基礎のコンクリートは何立米あるのか?
  • その基礎に必要な鉄筋は何トンなのか?
  • その基礎にコンクリートを流し込むのに型枠を組むわけですが、その型枠は平米(へーべ:1m×1m=1平米)あるのか?
  • 基礎工事が終わったあとは埋め戻しをしますが、それは何立米なのか?

などなど基礎工事だけでも、拾い出さなければいけない項目は多くあります。

それが躯体工事になるとさらに項目は増えていきます。

  • 各階の床や壁のコンクリート、鉄筋、型枠それぞれの数量は?
  • 外壁に貼るタイルの面積は?
  • 屋上の防水処理をすべき面積は?
  • 窓やドアはどんな仕様のものがどれだけの数必要なのか?
  • 窓に入れるガラスはどんな仕様でその面積は?
  • 各部屋の間仕切りの壁の面積は?それに貼る下地の石膏ボードの面積は?
  • 仕上げの床、クロスを貼る面積は?
  • キッチン、洗面台、トイレ、ユニットバスの数量は?
  • 笠木や見切りの長さは?
  • 様々な塗装仕上げをする面積は?
  • 電気の配線や設備の配管の数量は?

まだまだ色々とありますが、以上、積算をすべき項目の一部を挙げてみました。

こうやって項目を列挙するだけでうんざりですね。そんなわけで非常に地味でめんどくさくて、根気のいる作業、それが積算です。

数量をはじき出したら、それに材料費と施工費を掛け合わせて、金額を出します。そこでめでたく見積りの完成となります。

まあ、正直そんな作業はやってられんわ!

というのが現実なので、各下請け業者に見積りを依頼して、出てきた結果をまとめる、というやり方が一般的でしょう。

現場作業はたいていコンビになってする場合が多いですが、積算はひとりでも可能な作業です。もちろん、何人かで手分けしてすることはありますが。

今はCADデータを元に数量を出すケースも多いみたいですが。それだけで完結するというわけにはなかなか行かないようですね。CADデータにすべてが書かれているわけではありませんし。

その建築図面に書いていない部分を創造して補う、ということが必要なので、人間での作業はやはりなくならないのかと。

もっときちんと書き込んどけやあ、建築士の先生さんよ!

と言いたくはなりますね。

今後、3DCADやAIが発展すると、そのような積算作業は楽になるかもしれません。

積算業務の建設工事の中での位置付け

実際の業務の流れにおいて、積算の位置付けは様々です。入札物件と通常の営業獲得物件では違ったりもします。

入札物件では、設計図ありきなので、積算→見積り作成→提出→受注、という流れになります。きっちりと積算をして、入札金額を決定します。

これが、自社営業物件ではかなり違ってきます。

まず、営業が見込み客(施主)と打合せをして、なんとなくの建物のプランと施主が出せる限界の金額が決定。この段階で、ほぼ受注金額は決まってしまってるも同然でした。

なんとなくのプランに合わせ建築士が詳細を設計する。(当時勤めていた会社には社内に建築士が在籍していて、ほとんどの建物を設計していました)

設計が出来上がった段階で、だいたい正式受注・契約となる場合が多かったです。

で、現場に設計図と金額が降りてきます。

あれ、金額安すぎない?どんな建物でも、第一印象はそんな感じでした。

まあ、とりあえず業者に見積もりとってみるか・・・

後日、あがってきた見積もりを合算して、合計金額を確認します。で、ここで初めて、その建物を建てるために必要な金額が明らかになります。たいてい、その金額は受注金額を大幅に上回っていることが多かったです。

そこで我々、現場の人間は思います。

営業、なにしてくれたんじゃあ!!!

設計図通り忠実に施工していたらドえらい大赤字になってしまいます。さあてどうしようか?と会社をあげて大騒ぎになります。

このようなケースでは、施主との打合せが超重要となります。

建築士、現場監督、営業など一丸となってあれやこれやと手を尽くします。まあ、ここでお互いが責任をなすり合い、一丸となれないケースも多いのですが・・・。

同等品、代替品、代替工法を提案したり、設計変更をお願いしたり、もう色々考えます。

経験や知識をフル動員して、施主の思いを損ねずに、いかに予算内に収めるか、が現場監督の腕の見せ所でもあったりします。

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